曹洞宗 清元院

清元院庭園「古流・学問の庭」

 清元院庭園は、令和元年(2019年)11月に鳥取市の庭園研究家・青木清輝氏により、日本海新聞に公開された。池は鳥取県唯一の「方池」で長方形。日本庭園に長方形の池があるのは珍しく、日本には飛鳥時代に伝わった。方池は、古代中国では大学、日本では藩校などに見られ、清元院が寺子屋、以西小学校開校時は寺を校舎としていたことなど、教育の寺として地域に貢献したことが方型の池構造につながった可能性が示唆されている。清元院庭園は青木氏により、「古流・学問の庭」と名付けられた。

末広がりの構成美

 翌令和2年10月には、県から調査委託を受けた鳥取県造園建設業協会が調査に入り、調査に当たった協会副会長の石亀靖氏は、協会の会報「苑路」に次のように調査報告を記された。

 今回の調査で特に感動した庭を紹介します。
 琴浦町宮木に御座る「清元院庭園」です。庭の構成は、石積みに囲まれ滝行ができる水落を水源に方形の池が築かれている苔庭です。水深は胸ほど高さがあります。 この庭園の素晴らしさは、山口県防府市にある「月の桂」に匹敵する隠された遠近法による構成美にあります。
 池の配置は、庫裡の稜線と僅かに平行をずらし、同時に池幅自身も流末方向が広く取ってあります。つまり池に向かって右により流れてきて左方向に広がる空間をあしらっています。さらに中央に渡された石橋にも工夫がなされています。石橋の厚さを根本より頂点において薄くしてあり、その頂点の位置も池の中央より奥に据えてあります。
 このことにより狭い敷地の奥行きと広がりを演出しているとしか思えません。(日本における造形的魅惑のキーワード「末広がり」を体現しています)
 清元院の庭は世界一の狭小庭園と断言します。

 このように、青木・石亀両氏により価値を見出してもらったことに、只々感謝するばかりです。丁寧に管理し多くの方々に清元院庭園を楽しんでいただきたいと思います。

庭園1
水落

水落 みずおち 

 裏山からの自然水による池の水源。石組に囲まれ滝行ができる。

方池・泮池

方池 ほうち 

 鳥取県唯一の長方形の池、「方池」。日本庭園に長方形の池があるのは珍しく、そのルーツは古代インド。日本には飛鳥時代に仏教とともに伝わった。

泮池 はんち 

 池を橋で半分に仕切るデザイン。中国では孔子廟や大学、日本では藩校など学問の府に見られる。

石橋

石橋 いしばし 

 石橋の厚さを根元より頂点において薄くしてあり、その頂点の位置も池の中央より奥に据えることにより、狭い敷地の奥行きと広がりを演出している。

三宝大荒神石灯籠

三宝大荒神石灯籠 さんぼうだいこうじんいしどうろう 

 裏山からの大水で何度も水害に遭う清元院を荒神の力で守るため、この村の人々が文政2年(1819年)に建立。竿に「三宝大荒神」の文字が刻まれている。

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